東海ちなヤクの巣@パワプロと大相撲番付予想

スポナビブログから引越し。スポナビブログ時代は、プロ野球(東京ヤクルト)を中心に、大相撲の話もちょろっとしてました。はてなブログでは、パワプロと大相撲(番付予想)を中心に展開していきます。

筆者は彼に、謝罪しなければいけない。 【#42 坂口智隆】

タイトルこそ過激ではありますが、実際は筆者が坂口に何らかの実害を加えたとか、そういうことはないのでご安心を(そもそも目にする機会が球場観戦以外でありませんし)。

では、この「謝罪しなければいけない」とは何を指すか、簡潔に説明しましょう。

東京ヤクルトが、オリックス自由契約になった坂口智隆の獲得を表明したのは2015年のオフ。この年の東京ヤクルトは14年ぶりのリーグ優勝を果たし、「さあ来年も!」となった中でのニュースでした。

そのニュースを聞いた時の感情は、覚えているものとしては「あの坂口がうちに来るのか」、と言うのと同時に「使うところがあるのか……?」。

2015年東京ヤクルトの外野陣はW.バレンティンが長期離脱していて、3ポジションでの最多先発がライト雄平の97試合とレギュラーは固定しきれていませんでした。それでも後半からはレフトにM.デニング、センターに比屋根渉、ライトに雄平を置く布陣でほぼ固定され、その3人が打線でも機能することで優勝への原動力になっていました。

同じ2015年オフにデニングの退団を聞いた時は残念に思いましたが、それでも「レフトはバレンティンが戻ってくる」、「ライトには雄平がいる」、「センターは比屋根か上田がさらに成長してどちらか(もしくはふたりとも)が埋まるだろう」と思っていたので、坂口獲得の報を受けた時は素直に嬉しく思いながらも訝しんだ、という事情がありました。坂口は2012年以降、ケガが相次いで成績が不安定だったことにも不安要素があったのです。

その時、Twitterオリックスファンの方と坂口について話したときに「使うかどうかわからん」と率直に言って、そこそこもめた記憶があるのも覚えています。

それで、結果はどうだったか。

翌2016年、坂口はセ・リーグで復活し141試合に出場。センターとして117試合、レフトとして13試合に先発し、打率は.295をマークして外野の穴を埋めて余りある活躍を見せて見事復活を遂げます。

一方、個人的に期待をかけていた比屋根はスタメン出場21試合で打率は.230、上田はスタメン出場10試合で.220と低迷。それぞれ代走要員、守備要員として一定の働きは見せましたが、ともに坂口にレギュラーの座を明け渡してしまった格好となりました。

「再生工場」の系譜のあるスワローズなので、坂口の獲得を訝しんだ一方で「うちならある程度復活するんじゃなかろうか?」とも思ってはいました。しかし1年間戦線離脱をせず、打率を3割近くまで持ってくるとはとても想像できませんでしたし、何より予想外だったのは移籍1年目にして早くも多くのファンを獲得していたこと。さすがにこの流れを完璧に当てると言うのは諸葛孔明をしても難しいとも思いますが、派手に想定を外しただけにさすがに恥ずかしくなって、去年の夏の段階で既に「ごめんなさい」とは言っていた気がします。

そして今季も途中インフルエンザによる離脱こそありましたが、ケガによる離脱はなくここまで122試合に出場。移籍後初本塁打を含む3本塁打33打点をマークし、打率は.294をキープ。さすがにケガの影響があるのが守備に関してはどうしても全盛期より劣る印象はありますが、それでも故障者が多いスワローズの中では獅子奮迅の活躍を見せています。

今季坂口に関してやや無理を強いているなと思うのは、坂口を5番の打順で起用していること。本来は1・2番で輝く選手なので、あまりに役者不足の今季のスワローズ打線では少しでも打てるならランナーを返せる5番を、という形なのだとは思いますが、どうもやはり適性はないように思うのでここが心苦しいところ。「代役」の1・2番には最近は山崎晃大朗と藤井亮太が収まることが多いですが、この2人の左打者が理想とすべき打者こそが坂口だとも思うのです。

とは言え、坂口は今季33歳、来季は34歳を迎えるので本来は後継者を探さなければいけない。いつまでも坂口に頼っているわけにはいかないのです。

ただ筆者の感情として、坂口は「2015年オフ時点の過小評価を盛大に裏切ってくれた男」ですから、たぶんまだ筆者の予想をいい意味で裏切ってしぶとく渋く活躍するんじゃないかな、ともちょっと思っています。

坂口を押しのけるほどの新戦力の台頭にももちろん期待はしますが、坂口自身もどんどん筆者を裏切って活躍してほしい。そして、坂口の経験と技術を後輩に還元して欲しいとともに、坂口がレギュラーでいるうちにもう一度優勝を、とも切に願っています。