東海ちなヤクの巣@パワプロと大相撲番付予想

スポナビブログから引越し。スポナビブログ時代は、プロ野球(東京ヤクルト)を中心に、大相撲の話もちょろっとしてました。はてなブログでは、パワプロと大相撲(番付予想)を中心に展開していきます。

神宮の「NINJA」よ、さらに飛躍せよ。 【#51 藤井亮太】

26歳でドラフト6位指名されてプロ入りし、今季誕生日を迎えれば三十路。

即戦力投手ならともかく、本来この手の「下位指名の社会人選手」はあまり陽の目を見ません。多くは二軍で数合わせのように扱われるか、一軍で出番があってもサブプレイヤーが関の山の場合が多いです。

しかしこの男は、レギュラーだった同世代の選手が1年を棒に振るほどのケガに見舞われたため、一軍でレギュラー一歩手前まで迫っています。

この男こそ、藤井亮太その人。

兵庫・高砂南高から東海大海洋学部へ進学し、卒業後はシティライト岡山へ就職。2013年ドラフト6位で東京ヤクルトへ「捕手として」入団した、そんな選手です。当時の筆者は、かつて東京ヤクルトに在籍していた藤井秀悟五十嵐亮太を組み合わせたような名前を見て「活躍出来たら面白いんじゃないかなぁ」とは思っていましたが、失礼ながらそんなに期待もしていませんでした。

事実、1年目から一軍出場の機会は得ますが、7試合→13試合→12試合と横ばいで3年で放った安打は計10本。捕手登録ながら二軍でもほとんどマスクを被ることはなく内野手や外野手として出場してはいましたが、二軍でも図抜けた成績を残したというわけではなく、「守備がよければユーティリティなら……」程度の薄い印象しかありませんでした。

ところが今季、サードのレギュラーだった川端慎吾がヘルニアで離脱。川端に代わるサードを固定できなかったことで、藤井は幸運にも5月に昇格の機会を得ます。実はその昇格後も、5月は月間で打率.170と打撃ではアピールはできていません。

しかし、藤井は守備という武器を持って上がっていました。

記憶に残るのは5月11日対広島東洋戦、打者福井優也がバントを仕掛けたものの小フライ。そのフライが落ちようかというところで藤井はサードから猛チャージをかけてノーバウンドで捕球し、そのまま飛び出した一塁走者をもアウトにした、そういうファインプレーがありました。

ネット上でも「忍者」と称されたほどの守備力で定着の足掛かりを得た藤井は、6月に入ると20試合に出場し打率.290をマーク。プロ初本塁打も記録し、これで一気にサードの定位置に定着しました。

以降は、7月に同じサードのカルロス・リベロが加入したも刺激になったのか7月打率.269、8月打率.284とまずまずの成績をキープ。9月は19日時点で.241と数字を落としてはいますが、初めて一軍に定着したと言えるシーズンで奮闘を見せています。

しかし、藤井を取り巻く環境は決してバラ色ではありません。

今季東京ヤクルトは記録的な低迷を強いられる中で、その要因のひとつにもなった川端の離脱からチャンスをつかんだ藤井。しかし藤井は現在打撃ではシーズン通算.257 2本塁打12打点と平凡な成績に終始し、守備も前述のファインプレーを含め派手さはありますが失策数は13を数えるなど確実性に課題が残っています。ぶっちゃけて言ってしまうと、川端が離脱していなければ本来ここまでの機会を与えられる選手ではありません。

来季川端が復帰すると、複数年の実績という大きなアドバンテージを持つ川端と改めてレギュラー争いをしなければならないという状況。リベロが残留すればそれにリベロ、仮にリベロが放出されてもサードを守れる新外国人選手や新加入選手が入団すれば彼らも含めた選手らとの熾烈なレギュラー争いに勝たなければなりません。

予想というところで現実味があるのは、かつての三輪正義のようにその俊足と守備を生かして複数ポジションを守るユーティリティープレーヤーとなること。ユーティリティープレーヤーという点では、今季1年で作った実績はかなり大きなものとなります。

しかし藤井のためにもモノを言うならば、ユーティリティープレーヤーを目指してそれに収まると言うのはあまりよろしくない。今季曲がりなりにもスタメン出場を重ねた身としては、やはり来年は「確固たるレギュラー」になることを目指してもらわないと物足りないし、何より見ていて面白くないでしょう。

同じことは前回の菊沢の記事でも言いましたし、その菊沢に藤井だけの話だけではありませんが、”Never too late”。何かを目指すことに「遅すぎることはない」。

今季の経験を糧にして、藤井は来季さらなる飛躍を目指してほしい。今はまだスワローズファンの内輪ネタ的な要素のある「忍者」の異名を、来季こそは全プロ野球ファンに知らしめるほどの活躍を見せてほしいものです。