東海ちなヤクの巣@パワプロと大相撲番付予想

スポナビブログから引越し。スポナビブログ時代は、プロ野球(東京ヤクルト)を中心に、大相撲の話もちょろっとしてました。はてなブログでは、パワプロと大相撲(番付予想)を中心に展開していきます。

今は亡き後輩の想いと、そして自分のために。 【#2 大引啓次】

あるひとつの年代に数多くのスターが輩出されると、その世代のことを「黄金世代」という括りで語ることがあります。

プロ野球で有名なのは、清原和博桑田真澄のKKコンビを筆頭とする1967年度=「桑田清原世代」、松坂大輔を筆頭とする1980年度=「松坂世代」、そして斎藤佑樹を筆頭とする1988年度=「ハンカチ世代」などが挙げられると思います。

ちなみに1967年度生まれの現役選手はすでにいませんが、東京ヤクルトスワローズに絞ると「松坂世代」の選手は館山昌平、「ハンカチ世代」の選手は菊沢竜佑、石山泰稚、藤井亮太、上田剛史、星野雄大、秋吉亮がいます。

それとは別に、東京ヤクルトに限って言えば「黄金世代」はもうひとつあって、それが記事タイトルに触れた大引啓次を含む「1984年度」の世代。この世代で在籍している選手は雄平、大引啓次、W.バレンティン今浪隆博坂口智隆、J.ルーキ、中澤雅人と、12球団全37人に比して割合的には多い7人(約19%)。レギュラー級であったり、2015年の優勝時に貢献した選手だったりが顔を揃えています。

今回はその中で大引に注視して、話を進めましょう。

大引啓次は浪速高、法政大を経て2006年代学生・社会人ドラフト3巡目でオリックスに入団。オリックスでは1年目から遊撃手のレギュラーを掴み、2012年まで在籍。その年のオフに八木智哉糸井嘉男との交換トレードで木佐貫洋赤田将吾とともに北海道日本ハムへ移籍します。

北海道日本ハムには2年間在籍し、その間もレギュラーとして活躍。2014年オフに国内FA権を行使し、東京ヤクルトスワローズへ移籍しました。

東京ヤクルトでも遊撃手のレギュラーとして活躍し、2015年のリーグ優勝にも貢献した大引ですが、実は東京ヤクルトに移籍して3年で規定打席に到達したシーズンはありません。慢性的な腰痛などを理由に登録抹消を繰り返し、移籍1年目の2015年目は96試合347打席、昨季は100試合391打席。今季は2度、通算2か月の登録抹消を経験し、9月26日時点で78試合303打席に留まっています。ショートのポジションも、ここ最近は西浦直亨、奥村展征ら若手の選手にスタメンの機会を譲りつつあるのが現状です。

とは言え。

指標としてはそこまででも、大引には堅実な守備とパンチ力のある打撃、そしてプロに長年身を置いたその経験はやはり他の選手にはない一日の長があります。以前奥村の記事を書いたことはありますが、奥村はこれから伸びるべき選手なのに対して、大引は年齢としては今が円熟期と言ってもいい段階。ただし33歳は、特に俊敏な動きを要求される遊撃手としてはそろそろ限界も見えてくる年齢でもあります。

遊撃手のレギュラーとしてなら、大引自身慢性的な腰痛を抱えているために、そろそろレギュラーを「禅譲」するということも頭に入ってくるのかもしれません。

しかし、ベテラン野手が比較的少ない東京ヤクルトにおいて、上述したように大引のようにレギュラー級の多い1984年度生まれの選手は貴重な存在でもあるのです。特に内野手の大引は、時にはマウンドに行って投手陣を陰から支え、そして若い内野手陣のまとめ役となれる選手。このままフェードアウトしていくのは、チーム全体のためにも若い選手のためにももったいないことなのです。

だからこそ、今季は時すでに遅し感があるのですが、来季の逆襲に期待したい。まだ33歳と現代野球なら老け込むには早い年、「オレはまだまだやれるんだぞ」というところを大引には見せてほしいところ。

それとは別に筆者が、今度は感傷的な部分で大引の復活に期待したいのはとある選手の存在があるから。

その選手とは、小瀬浩之

2007年ドラフトでオリックスに入団し、2年間で136試合に出場し94安打を記録。将来を期待された矢先の2010年、春季キャンプ中に突然亡くなった悲劇の選手です。

小瀬の事件があったのが2010年。オリックスファンの方でも、もうぼちぼち記憶から消し去られていくかも知れない、それだけ時間も経ってしまいました。

そして何の因果か、小瀬の存命中に彼を一番かわいがっていたのが大引と坂口、ともに今は東京ヤクルトに在籍しているふたりです。

また、小瀬が背負っていた「41」を現在東京ヤクルトで着用しているのは、大引・坂口と同級生で小瀬と同じく左打ちの外野手である雄平。

後者について、筆者が気付いたのはまさにこの記事を書いている最中です。

さすがに雄平が小瀬の存命中に何らかの接点があったわけではないと思うし、雄平本人としても特に感慨はないでしょう。

それに大引・坂口・雄平の3人が揃った昨季は雄平と大引のふたりが規定打席に満たず、今季も雄平は6月末から戦線離脱、大引も2度の戦線離脱を強いられて、3人が主力として顔を揃えたのは開幕から6月末までの2か月ほどしかありませんでした。

来季34歳を迎える彼らですが、まだまだ主力を張ることは出来るはず。彼らの後継者を育てる必要もありますが、一方ではこのベテランの意地と経験が必要になる時期も必ず来るでしょう。残された時間は確かに少ないかもしれませんが、だからこそ早く彼らのために日本一を、とも思うのです。

2015年に大引が東京ヤクルトでリーグ優勝を経験しビールかけを行った際は、小瀬のユニフォームを着こんでいました。

今は、ともに小瀬をかわいがっていた坂口も同じチームにいます。

「自分のために」、そして「小瀬のために」。チームは違えど、大引と坂口にはまだまだ気張ってほしいかなと思っています。