東海ちなヤクの巣@パワプロと大相撲番付予想

スポナビブログから引越し。スポナビブログ時代は、プロ野球(東京ヤクルト)を中心に、大相撲の話もちょろっとしてました。はてなブログでは、パワプロと大相撲(番付予想)を中心に展開していきます。

「野球離れ」の本質とは何だろう? 広尾晃氏への補強と反論。

ブログでの挨拶は非常に遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年も何卒当ブログをよろしくお願いいたします。

と、前置きはこのくらいにしておいて、早速本題に移ります。
今回はパワプロのブログではないんですが、元となったスポナビブログではもともとこういうテンションの記事を書いていたので、ここはひとつ「原点回帰」と捉えていただければ。

news.yahoo.co.jp
こちらの記事についてです。
先に明言しておきますが、筆者はこの記事を書いた広尾晃氏のファンでもなければアンチでもありません。好きか嫌いかで言えばはっきりと「嫌い」と言いますが、賛同するところは筆者なりに補強しますし、反対するところは筆者なりに反論します。


まず記事全体を読んだところで、広尾氏特有の「記事ににじみ出る不快感」を感じ取ったのが正直なところ。
広尾氏の文章は人によって非常に好き嫌いが分かれる印象を受けるので、前述の筆者のように嫌悪感をハッキリと抱く人もいれば、「その通りだ」とうなずく人もいる。この記事はヤフートピックスに転載されていわゆる「ヤフコメ」もついていますが、チラッと見た限りそこではそんなに強い肯定も否定もなかった(ためになる経験談はあった)。この記事へのツイートはいわゆる「アンチ野球」ユーザーの知ったかぶりしたリプライがついていたので無視するとして、賛否両論で言えば「否」が多いような印象を受けました。
とは言え、筆者は明らかに「嫌い」寄りで見ているので、「賛」が多いならそれで正解だと思います。そこを突っ込まれると「はい」としか言えませんし、「難癖をつけているだけだ」と言っても「はい」としか応えられません。
でも、むしろそのクレームは(よほど品を欠いたものでない限りは)筆者の勉強への材料となるので、もしあれば遠慮なく伝えていただければと思います。次回以降同じような文章を書くときに参考になるはずです。

それでは、一つ一つ引用しながら補強と反論を進めます。



  • 1ページ目

これはざっくりと。
2020年東京オリンピックにおける野球競技の出場国数はわずかに6か国。参加6か国のうちメダルを取れる確率は単純に1/2なので、これは明らかに広尾氏の言葉を借りれば「ミニマム」なのは否めない。
その上、アメリカ代表を始め、中南米の野球強豪国でも同様にメジャー契約の選手は出場しない。これで「世界一を決める大会」と言われても納得しかねる人は多いでしょう。ここに筆者は反論する余地は少ないと考えています。



  • 野球に理解がない国からは「長すぎる」「ルールが複雑すぎる」というクレームが絶えない

ここの部分は、広尾氏が「従来の野球愛好者からの反発は大きい」と書いてある通りで、人気と言う目先に囚われてルールを改変していいのかと言う問題が発生します。2020年からはメジャーリーグで「ワンポイント禁止ルール」が追加されたように時間短縮に躍起になっていますが、筆者は時間の長さに関しては「プロ野球公式戦におけるイニング間パフォーマンスの長さ」が主要因になっていると考えています。これは高校野球が多い時で4試合をおおよそ午前8時から午後6時までの10時間、1試合でだいたい2時間前後で終えられていることが多いので、そこは「視野が狭い」と言うべきか。時間短縮だけで言えば、余計なパフォーマンスを入れさえしなければ大抵は2時間程度で収まるはずです。

それに、「ルールの複雑さ」が必ずしも人気に結びつかないことは、近年では2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップがそれを証明したように思います。ラグビーはサッカーと同じ源流を持ちながら独自に発展していったスポーツですが、ルールと言う点ではどちらも素人ながらラグビーのほうが複雑な感を受けます(実は選手も自分のポジションに関係ないルールについてはあまり詳しくないらしい)。
それでも徹底したメディアのキャンペーンや、日本ラグビーフットボール協会のプッシュと努力を受けて大会は成功に終わり、ラグビーそのものや各選手の知名度も急上昇。年末年始を始めテレビ番組にも多数出演するほどの「人気者」になりました。もちろんラグビーの場合は試合中ひっきりなしにルールの説明を入れていたのも功を奏していたでしょうが、同じことはやろうと思えば野球でもできるはず。
日本の場合、野球の場合は伝来してから150年の間で日本人のDNAに染み着いてきた文化がアドバンテージとしてあるので、今一度初心に立ち返って「ルールから広めていけば」、ルールが複雑すぎると言われることも減るでしょう。海外だとそれの難しさはあるんですが、そこはMLBなりNPBなり既に力のある組織が地道に伝道すべきです。それをせずに、「複雑だ」と言われてルールを変えるようなものは筆者は「持つべき芯がない」と批判的に考えます。



  • 少年野球人口は10年前の3分の2以下に

これも(野球ファンにとっては)残念ながら事実で、記事を引用しますが小中学校の野球競技人口が10年前の2/3に減少少子化でも世代人口の減少は5%程度なので、如何に減少のスピードが早いかはご理解いただけると思います。
これへの補強として、言及自体は否定できないし、その原因として野球が負うマイナスイメージがあるのも認めざるを得ない。特に現在の経済状況……家庭もひっくるめて……を振り返れば、スポーツの中でも特にお金も負担も大きい野球をやらせようとする親は、スポーツそのものの多様性が増えてきた近年においては少なくなっても仕方がないと思います。
ただ、広尾氏の言及は「野球界もようやく『野球離れ』対策に取り組もうとしている。(中略)どのイベントでも子どもたちの満足度は高く、それなりの手応えはあるようだ」で終わっている。これが物足りない。

筆者は野球と同じく相撲(大相撲)も好きなんですが、その相撲も野球と同じく競技人口の減少に悩まされているスポーツと言えます(相撲を純粋にスポーツと言えるかどうかは、今回は脇に置きますが)。
それでも近年だと千葉県柏市は、大相撲の世界だけでも関取に隆の勝と琴勝峰の2人を輩出し、巡業でのいわゆる「柏場所」も2020年で4回目を数え、チケットも完売するなど大盛況を呈する「相撲どころ」です。
そんな柏市も元から相撲どころだったわけではなく、1987年に相撲場が出来るまでは「不毛の地」でした。それが相撲場の完成に伴い「相撲どころ」としての名実を備え初め、やがて上述した2人の関取を生むまでに至ったわけです。
そんな、「相撲どころ」と同じような「野球どころ」も作ろうと思えば作れるはず。徳島県阿南市には「野球のまち推進課」があるように野球で町おこしを進めるなど、自治体レベルで取り組んでいる、取り組めるレベルの行動はいくらでもあるわけです。それをオリンピックと球数制限に触れただけで終わったのはやはり消化不良でした。



  • 「このままでは反転攻勢に出るのは難しい」

補強する部分として、日本の野球界はピラミッド状にはなっておらず、プロ野球独立リーグ、社会人、大学、高校などが林立している状態です。つまりトップダウンも出来なければ、ボトムアップも出来ない「縦割り行政」とも言うべき状態が今の日本の野球界と言っていいでしょう。
だから、とあるひとつのカテゴリが画期的な普及活動をしたところで、他のカテゴリの動きは鈍い。「各団体がバラバラに存在してほとんど連携していない」のはその通りだと思うんです。

だからと言って、その林立して統一されていない状態から「野球離れ」への対策が「球数制限」に終始させていいのか、と言うとそんなわけはないだろうと。
「球数制限」そのものは筆者も導入されるべき案件だとは思いますが、「野球離れ」から「球数制限」へはいささか話が飛躍していないか。現場レベルで野球離れを食い止めたいなら、上述した親の負担についてそれを減らすとかマイナスイメージを払拭するのか、そこから話を展開していくべきではないでしょうか。球数制限はある程度次元が進んだところで出てくる問題であって、「球数制限」を導入したからと言って「野球離れ」が食い止められるかというとそこは疑問に思います。
広尾氏は恐らく、「球数制限」という一石を投じたところで、「船頭多くして船山に上る」現状の野球界から「船頭を統一しよう」「させよう」と言うところに持っていきたいのでしょう。それは分かりますが、少し野球を知っている人なら筆者のように「話が飛躍した」と捉える人がいてもおかしくはないはず。話の展開としても、球数制限も大事ですが、その前に筆者のように「親の負担やマイナスイメージの払拭」から話を進めてもよかったのではないかと思います。



最後に。

広尾氏は既に自らのブログで触れていますが、ファンの数。言い方を変えればプロ野球の観客動員数」は年々上昇していて、昨季は2653万人という過去最高の動員を記録しています。これをもって「野球離れ」を感じるには無理があると思うし、筆者もそういう考えではいます。
しかし、広尾氏の言う通り「地上波での視聴率が10%に届かない」のは懸念のひとつであるのも事実です。流れとしては地上波の放送減少と、ファンが現地(球場)に赴くことの両方があってこの結果になっているのだと思いますが、テレビが往時よりマスメディアとしての存在感を縮小させたとは言えまだまだ主流である時代、地上波での視聴率減少は決して楽観視していい問題ではありません。今の「観客動員が好調な時期」に、少なくとも日本で野球という文化がマイナーになってしまわないように、どんな形でもいいから「野球離れ」を食い止めなければいけないのは事実です。

そしてそこに至るまでの結論は、冒頭に示した広尾氏の記事では不十分だったのもまた事実です。
「野球離れが起きています、だからどうするか」。それが「球数制限」メインになってしまったような印象を筆者は受けました。問題の主流は、そこではないはずです。野球へのマイナスイメージだったり、また公園の球技禁止などによる「気軽にプレーできる場所が確保できないこと」だったり、これが主流ではないでしょうか。

また10年前から比べてプロ野球の観客動員数が上昇しているのは先にも触れた通りで、これは球界再編運動からプロ野球12球団が各自の経営努力でファンをつけていった結果です。そのうちの何割かがリピーターになり、新規の「にわか」ファンになっていく、これもまた事実でしょう。それらを無視した物言いは、感情的な言い方になりますがやはり拒否反応を示してしまう。
それに、今回の場合観客動員増加と競技人口減少は別に語られることで、ここを一緒くたにしてしまうと結論が正論から外れていってしまいますが、その愚を犯してしまっています。

長々と駄文を書きましたが、筆者は「野球離れ」への対策は「気軽にプレーできる環境の整備」と、「ルールの啓蒙などによる野球文化の再定着」、そして「野球振興のために日本野球界の組織を統一化する」ことだと考えます。

みなさんは、いかがでしょうか?