場所前は大関貴景勝の綱取り成るか、と言う点に注目された今年の大相撲春場所。しかし貴景勝は怪我で7日目に休場し、綱取りどころか一転来場所はカド番に。新横綱誕生か、そして貴景勝はご当所の大阪で悲願成就なるかと注目されていましたが、こちらは残念な結果に終わってしまいました。
しかし一方で、新大関を狙う三役の躍進が注目された場所でありました。序盤は平幕翠富士が10連勝して優勝戦線を引っ張っていきましたが、中盤以降は小結大栄翔が翠富士を捉えて逆転し、さらに関脇霧馬山がその大栄翔を千秋楽で下して優勝決定戦に。迎えた優勝決定戦では、霧馬山が大栄翔に攻め込まれながらも逆転して勝利し、新関脇の場所で見事初優勝を果たしました。
前述の貴景勝の怪我の他、照ノ富士も回復が遅れて全休。昭和以降では初めてとなる「横綱大関不在」の異常事態の中、次点である三役陣が7人中5人勝ち越し、うち4人は2ケタ勝利を挙げるなど、見ようによっては「上位が充実した場所」となりました。霧馬山を始め、後述しますが関脇を守った豊昇龍と関脇に上がることが予想される若元春・大栄翔は、程度の差はあれ来場所は大関を賭ける場所となります。もちろん筆頭は霧馬山ですが、豊昇龍・若元春・大栄翔と4人でどこまで大関獲りを盛り上げられるかに注目が集まりそうです。
番付予想、まずは幕内。
三役は関脇4人、小結3人と予想。筆者個人的には関脇が小結より多いのはアンバランスに感じるので小結を4人にしたいんですが(その場合上げるなら阿炎)、ただ無理に作るものでもないのと最近の慣例を予想すればこの形が落ち着くかなと思います。
入幕は逸ノ城と朝乃山の2枠でしょう。問題はその2人をどこに置くかですが、3枚目で14勝優勝の逸ノ城と筆頭で13勝の朝乃山を逆転させて、それぞれ9枚目と10枚目につける予想をしました。組んでいる最中は、この入幕の2人を除けばそれでスッキリする当てはまり方をしたために、どこに割り込ませるかはかなり考えました。幕内と十両の格を無視してもっと上げたい気持ちもあるんですが、現実的にはこのラインかなと思います。
続いて十両。
入幕を逃した力士について、東白龍はチャンスがあったものの負け越しでまず上がれず、3枚目で9勝の湘南乃海、6枚目で11勝の豪ノ山も上がっていい星でしたが今回はお預けになりそうです。
十両と幕下の入れ替えについては難問中の難問で、どれだけの人数を入れ替えるか、入れ替えるとして誰を入れ替えるかは予想する人によって千差万別あると思います。筆者は4勝11敗で負け越し7点の4人のうち、荒篤山・栃武蔵・徳勝龍は陥落やむなし。負け越し7点で後ろ5枚の對馬洋は落とさなくてもいい星ですが、候補の志摩ノ海が負け越し5点で後4枚なのと、入れ替え戦とみなしていい幕下川副との一番で勝ったことで恐らく志摩ノ海を残し、對馬洋を落とすと言うシナリオで考えました。筆者が三重県勢の力士を応援していて「志摩ノ海に残って欲しい」と言う力が働いたのは否定しませんが、一応こんな順序立てて説明出来る理由はあります。
十両に昇進するのは、まず2枚目で5勝の千代栄、同じく2枚目で勝ち越した藤青雲と東3枚目で勝ち越した時疾風は決まり。この後枠を3人にするか4人にするか、はたまたもっと増やすかは個人の見解に分かれるところでしょうが、對馬洋は陥落してもおかしくない星、西3枚目で勝ち越した川副が東3枚目の時疾風と連結していることを考えれば、對馬洋(か志摩ノ海)には泣いてもらって川副をセットで上げるか、と筆者は予想しました。枠が増える可能性について言及すれば、本来なら6枚目で6勝を挙げた紫雷が強い成績なんでしょうが、最近の編成では5枚目以内が6枚目以下よりはるかに優遇されているので(幕下15枚目以上は全勝すれば、先場所の落合……落合は付出でしたが……のように十両昇進が優先される)、6枚目以下は全勝しないと上がれない何かしらの目安があるのだと思います。この辺りはもう少し審判部が枠を取っ払ってくれればいいのですが。