今現在のスワローズで、「エースと言えば?」と問われれば、ファンはどんな投手を挙げるでしょうか?
「んなもんいねーよ」と手厳しい声を挙げるファンもいらっしゃるかもしれませんが、恐らく3,4割くらいのファンは「小川泰弘」の名を挙げるんじゃないかな、とは思います。
小川は2012年ドラフト2位で入団。ルーキーイヤーの2013年は、チームが最下位に沈む中でまさしく孤軍奮闘し、残した成績は16勝4敗、防御率2.93。最多勝を獲得し、同年にプロ入りした巨人・菅野智之、阪神・藤浪晋太郎らに競り勝って新人王をも手中に収めました。
しかし、2年目からは苦難の連続。2014年は4月に打球直撃による故障で長期離脱を余儀なくされ、それでも9勝まで迫りながら最終登板でエラーによる不運もあり2ケタ勝利に届かず。
2015年は11勝を挙げてリーグ優勝に貢献したものの、翌2016年はリーグワーストの22被本塁打を浴びるなど思うようなピッチングが出来ずに8勝止まり。
今季もケガによる途中離脱があり、復帰後は一時抑えに回されましたが2回のセーブ機会で両方救援失敗。特に7月7日対広島東洋戦では5点リードで登板しながら一挙6失点を許し、大逆転負けを演じてしまう失態も見せてしまいました。
それでも、8月19日時点での小川の今季成績は6勝6敗、防御率2.84。途中抑えに回るなどコンディション面が少なからず万全でない中で、これだけの成績を収めていることはチームにとっては非常にありがたい存在だと言えます。
だからこそ……小川にポテンシャルがあることを知っているからこそ、きのうの広島東洋戦での8回無失点の好投での6勝目が、通算50勝目の節目の白星だったことに関して、「あれ? そんなに遅かったか?」と思うファンも少なからずいるでしょう。
同期(とは言え年齢は1個上)の菅野智之と比較すれば、その道のりは決して順調ではありませんでした。ただ、順調ではなかったからこそ、この「通算50勝」という節目の記録に対して抱く感情もひとしおのものがありますね。
さて、残りシーズン。恐らく小川が今季投げる試合は多くて4試合、5試合程度でしょう。
5年目で50勝を挙げたので、一応順調にいけば20年目に200勝も狙えるペースではあります。チームは残念ながら低空飛行を強いられていますが、まずは小川は「自分のために」、より多くの勝ち星を積み上げてくれればなと、個人的には思っています。