新大関琴ノ若を迎え、1横綱4大関を大阪に迎えた春場所。
しかし横綱照ノ富士は6日目までに4敗を喫し途中休場。先場所は綱取りを目指していた霧島は絶不調に陥り10敗を喫して来場所は角番となり、その角番で春を迎えていた貴景勝はなんとか勝ち越して角番を脱出したものの怪我が思わしくなく皆勤出来ず。新大関の琴ノ若と大関4場所目の豊昇龍は優勝戦線に食らいつきつつも、千秋楽を待たずに可能性を断たれました。
上位陣の不振を縫うように快進撃を見せたのは、今場所が新入幕の尊富士。初土俵からわずか10場所で幕内へ昇進した若武者は、初日から白星を重ね続けて11連勝。昭和の大横綱・大鵬に並ぶ大記録を打ち立て、幕内2場所目の期待の新生大の里とともに大阪に「春の嵐」を巻き起こしました。
優勝争いが尊富士と大の里、そして豊昇龍の3人に絞られた14日目、先に土俵へ上がった尊富士は元大関朝乃山の前に2敗目を喫し、さらに右足首を痛めるアクシデントに見舞われます。大の里は小結阿炎に勝って望みをつなぐ一方、豊昇龍は琴ノ若相手に黒星を喫して優勝戦線から脱落します。
尊富士の怪我が心配された千秋楽、尊富士は出場を決めます。勝てば優勝が決まる豪ノ山との一番は右足首の怪我を感じさせない力強い取組で勝利を収め、新入幕での初優勝を決めました。
記録として、新入幕での幕内最高優勝は1914年5月場所の両國以来110年振り。所要10場所での初優勝は年6場所制が定着して以降、前相撲からでは貴花田(のちの貴乃花)・朝青龍の24場所を大きく抜き、さらに幕下付出の輪島(15場所)と三段目付出の朝乃山(20場所)をも抜いています。三賞も尊富士が殊勲・敢闘・技能トリプル受賞を果たし、これは2000年九州場所の琴光喜以来6例目となりました。
尊富士は優勝後のインタビューで「記録じゃなく、記憶に残る力士になりたい」と明言しましたが、結果的には記録にも記憶にも残る結果となりました。
続く夏場所は尊富士の他、敢闘・技能のダブル受賞を果たし新三役を見込まれる大の里の新鋭2名に注目が集まりますが、一方でその2人の躍進を許した上位陣の奮起にも期待がかかります。
注目の若手としては自己最高位で勝ち越した平戸海も着実な成長を示し、三役を狙った熱海富士も勝ち越し。金星を挙げた王鵬や実力を示し2ケタ勝利を挙げた豪ノ山など、期待の若手がさらに爪痕を残しにかかるかが楽しみです。
番付予想、まずは幕内。
三役は若元春と阿炎が関脇に座り、小結は西筆頭で9勝の朝乃山が返って、西5枚目で11勝の大の里が上がるものと思います。
思ったより上位が目詰まりしたので13勝を挙げた尊富士は西6枚目としていますが、実際はプラス2枚くらいはしてくると思います。4~6枚目近辺に予想される力士からすれば尊富士との対戦機会はなかったので多少割を食いそうですが、それは実際上がって対戦を組まれた時に尊富士を破ることで意地を示して欲しいと思います。翠富士は同部屋なので当たらないですけど…………。
入幕は水戸龍、欧勝馬、時疾風、宝富士、友風と予想。水戸龍と欧勝馬は本来なら東西13枚目まで上がらないと思いますが、下位は下位でスカスカなので上げざるを得ない気もします。
続いて十両。
十両の7勝8敗は基本据え置きました。そうしないと筆者の力量では組めなかった。今場所は結構苦労したので、正直当たらないとは思います。
十両昇進は千代丸が復帰し、阿武剋、塚原、風賢央が新十両を決めると予想。ここは位置はともかくそこまで迷うところではないはずです。
大阪は無理なく行ける場所なので7日目に行きまして、地元が同じ三重県伊賀市で6月に断髪式を行う元前頭・千代の国の佐ノ山親方にサインを頂いてツーショット写真も撮って頂きました。写真はここでは載せませんが、親切な対応をしていただいて嬉しかったです。断髪式に行くことも伝えられたので、それだけで観戦が出来てよかったと思います。
個人的な雑感としては今場所返り十両を決めた北磻磨にも注目していまして、結果は残念ながら4勝11敗と大きく負け越したものの、勝った相撲は北磻磨らしいいい相撲を見せてくれたと思います。37歳にして「今が一番相撲が好き」と言ってのける北磻磨は応援したくなる力士で、来場所は幕下陥落やむなしですけど、数場所後にまた返り十両を決める絵も見えると思っています。7日目は紫雷を相手に突き落としで勝ちましたし、勝ち名乗りを見れたのは良かったです。