先場所優勝を果たし、綱取りがかかった大関霧島。関脇として着実に白星を重ね、一気の大関昇進も見えた琴ノ若。そして度重なる怪我、休場からの復帰に進退を賭けた横綱照ノ富士。長年空位だった行司の最高位「木村庄之助」も復活し、三者三様に期するもののあった今年最初の大相撲。15日間トータルで言えば、文句なく「見応えのあった場所」でしょう。
霧島は8日目までに2敗を喫しながら大負けはせず白星を積み重ね、琴ノ若も6日目に土は付きながら単独先頭を走るなど優勝争いをリード。照ノ富士は2日目若元春に、7日目は正代に不覚を取ったものの、序盤は危うさも残る相撲もありながら終盤にかけて強さを取り戻します。この場所は関脇以上がしっかり白星を重ね、大関豊昇龍も最後は怪我で球場を余儀なくされながら10勝4敗1休は役割を果たしたと言えるし、関脇大栄翔も(本人は納得していないでしょうが)9勝を記録。元大関朝乃山も途中休場はありながら初日から7連勝を記録し序盤を盛り上げれば、期待の新入幕大の里は横綱・大関・関脇と対戦が組まれるほどの結果を残して11勝を挙げました。
13日目を終えて優勝争いには照ノ富士・霧島・琴ノ若が残り、まず14日目に霧島が琴ノ若に敗れて後退。照ノ富士は不戦勝となりました。
千秋楽、琴ノ若は難敵と言って差し支えない曲者・翔猿を力で捻じ伏せて霧島の優勝可能性が消え、その後の照ノ富士対霧島は横綱が横綱たる所以をこれでもかと見せつける白星。もつれ込んだ決定戦では照ノ富士が横綱の格をこれまた見せつけ、見事な復活優勝を遂げることとなりました。
霧島は11勝と大関としては十分立派ながら、残念ながら綱取りはほぼ白紙に。しかし課題がはっきり見え、悔しさを味わった霧島の今後には十分期待を抱かせるものがあります。
琴ノ若も大関昇進はほぼ決まったとは言え、最後の最後で優勝を逃した悔しさを持つこととなりました。今度は横綱を目指す戦いとなりますが、その悔しさを春場所以降どう示すかに期待がかかります。
そして照ノ富士は、直近でも幾度となく怪我に苦しみながら横綱として2人の前に立ちはだかりました。「まだまだ看板から降りるつもりはない」、そう宣言したかのような15日間でした。
番付予想、まずは幕内。
琴ノ若の大関昇進は事実上決定したので、来場所は4大関となるでしょう。
三役は関脇大栄翔の維持は確定として、琴ノ若昇進で空いた枠と両小結負け越しの分で3枠空くので、東筆頭で10勝の若元春を西関脇に。今場所は役力士が好調だった分平幕上位に負け越しが多く、阿炎と錦木が引っ張り上げられる形で小結になるものと予想します。
入幕は錦富士、北の若、大奄美、十両優勝の尊富士、狼雅と予想。遠藤は本来なら十両に陥落してもやむを得ない星ですが、十両から上がる力士の星と比べたら残ってもおかしくはないと思います。
続いて十両。
単純な昇降は幕内、十両ともになるようになると思います。毎度のことですが、あまり言うことが思い付かない。
十両昇進は若隆景、對馬洋、伯桜鵬、北磻磨の4人。下がる星だと千代丸は本来残る星ではないですが、幕下5枚目以内で勝ち越した力士が4名しかおらず、最近の傾向として6枚目以下は「全勝しないと上がれない」。幕下東8枚目で6勝1敗の阿武剋は本来なら「上がるべき・上げても不自然でない」星なんですが、この傾向があるので恐らく千代丸が十両尻に残ると思います。ここは正直当たって欲しくない部分です。