東海ちなヤクの巣@パワプロと大相撲番付予想

スポナビブログから引越し。スポナビブログ時代は、プロ野球(東京ヤクルト)を中心に、大相撲の話もちょろっとしてました。はてなブログでは、パワプロと大相撲(番付予想)を中心に展開していきます。

遂に来てしまった宣告。ならば、どこまでも添い伏しましょう。

筆者が野球以外で好きなものを挙げるとすればいろいろありますが、そのひとつが歴史(日本史)。学生時代は、日本史だけは勉強せずとも毎回高得点を取れた記憶があります。その歴史好きの原型を作ったのが、小学2年生の頃から母親の影響で見始めたNHK大河ドラマです。

今年の大河ドラマは「おんな城主 直虎」。戦国時代、遠江井伊谷(現在の静岡県浜松市)を治める国人領主・井伊氏の中でも、珍しい「女性の城主」として知られる井伊直虎を主人公とした物語です。

8月20日に放送された第33回「嫌われ政次の一生」は、恐らくこの今年の物語のハイライトとなる場面。

幼馴染でありながら、表面上は近隣の大名である今川氏真(尾上松也)と徳川家康(阿部サダヲ)の対立、そして井伊家存続と井伊谷領有を巡って反目を演じる井伊直虎(柴咲コウ)と小野但馬守政次(高橋一生)。それでも直虎は政次の本心を知っていて、陰では井伊家存続のために様々な策を弄します。

直虎の井伊家を井伊谷から追放して井伊谷の城代となった政次ですが、直後に徳川家康井伊谷三人衆(鈴木重時:菅原大吉、近藤康用橋本じゅん菅沼忠久阪田マサノブ)が井伊谷へ侵攻。近藤の策略に嵌ってしまい井伊谷から駆逐された政次はやがて捕らえられ、磔に処されます。

……ここは歴史を語るブログではないのであらすじを述べるのはここまでにして、もしどうしても気になるのであればTwitterにまとめられたモーメント(ネタバレ注意!)やハッシュタグ検索、土曜日13:05の再放送をご覧いただければ。

物語最終盤の、これまでの伏線をすべて回収する脚本の巧妙さ。そして柴咲コウさんと高橋一生さんの類まれな演技力に泣かされたあの場面は、まさしく大河ドラマ上に残る名シーンと言って過言ではないだろうとは思います。

野暮なことを言えば、その時間帯と同じくらいの時に、マツダスタジアムでは4点リードの8回裏に3番手の石山泰稚が2ラン本塁打2本を浴びて「討ち死に」してしまったのを見知って、ふたつの意味で泣きそうになりましたが……。

それを踏まえて、今朝流れたニュース。

ヤクルト真中監督、今季限り退任へ 後任候補は高津2軍監督ら

昨季、そして今季のチーム成績のみを見てみれば致し方なく、初めて知った時も「そうか……まあ、そうなるか」とあまり驚きはしませんでした。

ただ昨季はともかく、今季に関しては果たしてチームの低迷の所在を真中監督ひとりに求めていいのだろうか? と思わざるを得ないのも率直な感想。

きのうだけの話にしても、1点ビハインドの5回表にウラディミール・バレンティンの逆転満塁本塁打で3点リードを奪い、7回表には山崎晃大朗のスクイズでリードを4点に広げます。

そして先発の山中浩史が6回1失点の好投で勝利投手の権利を得て、7回は松岡健一がゼロに抑え、8回はセットアッパーの石山泰稚を投入。この試合の采配はベター、セオリー、定石の類で、本来なら文句を言う筋合いはなかったはずです。

ところが、その石山が前述の通り2被弾4失点を喫しノックアウト。最後は延長戦にもつれ込み、痛いサヨナラ負けを喫してしまいました。

少なくともきのうの話であれば、石山が打たれたことは結果論。「なんで石山出してんねん」と突っ込む方もいらっしゃるかもしれませんが、だからと言って例えば近藤一樹を出せば抑えられたか。

実際に近藤は石山の後を受けて同点で食い止めるピッチングを見せましたが、どちらにせよ後出しジャンケンの結果論でモノを言っている限りは、卑怯でしかないでしょう。

強いて、本当に強いて言えば山中をもう少し引っ張る選択肢はなかったかとも思いましたが、それでも7回降板であれば8回の石山投入という選択肢は変わらないはず。もし「逆転負けを喫した」という事実だけでこの采配をあげつらうのであれば、どんな監督でも采配なんかおっかなくて取れません。裏を返せば、それだけ相手の広島東洋の勢い恐るべし、首位を独走する理由もわかる、そういう話で終わりでいいのです。

それでも真中監督が「いいな」と思うのは、4失点で試合を壊してしまった石山を非難するコメントを出さないこと。

本心では怒りを覚えた、はらわたが煮えくり返っているかも知れない。

負けが込む昨季、今季に関しては、まったく選手を非難、批判するコメントを出さないわけでもない。だけども苦言を呈するにしても一言か二言で済ませて引きずらず、今日で言えばセットアッパーとしてタフな役割を与えている石山に対して、一度の失敗を必要以上にあげつらわなかったことは、一個の人間として素直に好感を持てるかなとは思います。

さらに今季の低迷は、監督ひとりでは完全に防ぎようがない「相次ぐ選手の戦線離脱」に直面していたという面もあります。これも管理能力の欠如を問われれば仕方ないのかもしれませんが、かといって筆者はそれをも真中監督ひとりの責任に強いるのであれば、それはスケープゴートにしようとしているとしか思えない。もちろんケガ人の多さは改善しなければいけない話ではありますが、それでも残った選手でやりくりし、リリーフ陣で言えば継投が多いように見えて実はリリーフにかかる負担(連投など)は相変わらず極力抑えていることなどはもっと評価されていいはず(それでも離脱者が出る時は出まくるわけだから、もうホントどうしろと……)。

とは言え。

責任を取るのが監督であるならば、いかなる理由であれ「責任を取る」という行為からは逃れられないのでしょう。

まだニュースでも「見込み」とあるので、監督辞任はまだ決定事項ではないかとは思います。ただ、胸中でその覚悟を固めてあるのなら、筆者はその覚悟に殉じましょう。

冒頭で触れた「おんな城主 直虎」の第33回最終盤、井伊直虎は磔にかけられた小野政次を前に自ら槍を取り、「地獄へ落ちよ、小野但馬!」と叫んで突き刺しました。

その後のやり取りは、やはりネタバレになりますから伏せます。ただ、表面上では政次がこと切れるまで罵倒の応酬を繰り広げながら、本心ではふたりにしかわからない最期のやりとりを交わし、物語は終わります。

その「地獄へ落ちよ」と叫ぶシーンと、偶然にも同じ時間帯に4点リードから一転同点に追いつかれたスワローズがふっと重なって、変に感情が交錯したかも知れません。

ただ、この最下位をひた走るという「地獄」に感情や置かれた状況を重ね合わせた時に、「ならば自分も、その地獄にお供しましょう」と。

惚れた弱みではありますが、まあ、地獄を見るのは慣れっこなのでね。